統一地方選の変化(2023年)

※当記事は、政治の話題が苦手な方はご注意ください。

2023年の統一地方選都道府県レベル(と政令市)で2023年4月9日、市区町村レベル(政令市以外)で2023年4月23日に行われています。
統一地方選はもとより、地方選挙では無風(無投票当選)のところがどの程度生じているのかが深刻な問題です。
首長も地方議員もなり手がいない(少ない)ことが問題となっていまして、当記事をご覧の方に考えていただきたい問題です。
当記事では前回(2019年)と今回(2023年)でどのように変化しているのかを扱います。

都道府県首長選

下記の表は構図に関してです。

都道府県首長選
都道府県 2019年 2023年
北海道 与党、野党 与党、野党、他、他
神奈川 相乗り、共産 相乗り、共産、政女、他
福井 自民、共産 相乗り、共産
三重 与党、共産 (なし)
大阪 維新、非維新 維新、相乗り、共産、政女、参政、他
奈良 相乗り、他、他 相乗り相乗り、維新、共産、他
鳥取 相乗り、共産、他 相乗り、共産
島根 自民、共産 相乗り、共産、他
徳島 与党、共産 自民自民自民、共産
福岡 自民、共産 (なし)
大分 相乗り、共産、他 与党、野党

太字:保守分裂
(出典:下記の各記事)
●「中日新聞Web」内「自民、道府県議選で過半数 立民は議席増、国民大幅減」(2019年4月8日)
●「共同通信」内「統一地方選スタート 9道府県知事選が告示」(2023年3月23日)
前回は1府10県・今回は1府8県が対象ですが、いずれも無風のところは生じていません。
無風ではないとなると気になるのは構図です。
与党系と野党系のすみ分けが図られている場合と与党系相乗りの場合があります。
国政では(ものごとによるが)与党と野党が議論を交わしている一方、地方政治では与党と野党の議論が活発ではないのが残念です(共産を除くオール与党)。
選択の余地すらない無風よりは増しですが……
一応は国政政党の関与であり、地方政治でも活発な議論を交わしていただきたいものです。
首長選は居住要件がなく、供託金制度が壁です。
土地の縁の有無は問われない一方、経済力が問われるのが問題です。

都道府県議選

全選挙区

下記の表は都道府県議選での無風の選挙区数に関してです。

都道府県議選(全選挙区)
  2019年 2023年
都道府県 無風/全選挙区 割合 無風/全選挙区 割合
北海道 21/46 約45.7 19/46 約41.3
青森 6/16 37.5 4/16 25
秋田 8/14 約57.1 5/14 約35.7
山形 9/17 約52.9 9/17 約52.9
栃木 6/16 37.5 4/16 25
群馬 6/18 約33.3 9/18 50
埼玉 22/52 約42.3 16/51 約31.4
千葉 17/42 約40.5 15/41 約36.6
神奈川 13/48 約27.1 12/47 約25.5
新潟 7/27 約25.9 13/27 約48.1
富山 4/13 約30.8 3/13 約23.1
石川 7/14 50 3/14 約21.4
福井 4/12 約33.3 4/12 約33.3
山梨 5/16 約31.3 8/16 50
長野 9/23 約39.1 11/23 約47.8
岐阜 16/26 約61.5 17/26 約65.4
静岡 10/33 約30.3 15/34 約44.1
愛知 26/55 約47.3 24/55 約43.6
三重 5/17 約29.4 7/15 約46.7
滋賀 3/13 約23.1 2/13 約15.4
京都 5/25 20 5/25 20
大阪 8/53 約15.1 11/53 約20.1
兵庫 15/39 約28.5 8/38 約21.1
奈良 4/16 25 3/16 約18.8
和歌山 7/14 50 9/14 約64.3
鳥取 2/9 約22.2 3/9 約33.3
島根 4/12 約33.3 5/12 約41.7
岡山 10/19 約52.6 10/19 約52.6
広島 14/23 約60.9 11/23 約47.8
山口 5/15 約33.3 5/15 約33.3
徳島 6/13 約46.2 8/13 約61.5
香川 9/13 約69.2 4/13 約30.8
愛媛 5/13 約38.5 6/13 約46.2
高知 5/17 約29.4 9/17 約52.9
福岡 18/45 40 14/44 約31.8
佐賀 7/13 約53.8 7/13 約53.8
長崎 7/16 約43.8 5/16 約31.3
熊本 12/21 約57.1 8/21 約38.1
大分 8/16 50 7/16 約43.8
宮崎 7/14 50 3/14 約21.4
鹿児島 9/21 約42.9 7/21 約33.3
合計 371/945 約39.3 348/939 約37.1

(出典:「読売新聞オンライン」のうち下記の各ページ)
●「統一地方選挙2019 速報」
●「統一地方選挙2023 速報」
前回・今回いずれも1道2府38県が対象です。
無風の割合は約39.3%→約37.1%と少々減少していますが、数値がどの程度であろうとも無風のところが生じているのは問題です。
地方選挙で特に深刻なのが都道府県議選です。
近年では例のウイルス対応が都道府県の影響が強いため、なおさらです(ただし、肯定しているわけではない。都道府県任せの国が根本的な問題)。
無風は出馬する側にとっては政策の議論とならない、投票する側にとっては住民の代表として送り込む人物の選択の余地がないということです。
地方議員選は構図以前の問題です。
地方議員選は供託金制度に加えて居住要件が壁です。
なり手を暮らしている人間からしか募れない現状ですが、土地の縁の有無を問わずなり手を募れるようにすべきです。

1人区

下記の表は1人区に絞った場合の無風の選挙区数に関してです。

都道府県議選(1人区)
  2019年 2023年
都道府県 無風/全1人区 割合 無風/全1人区 割合
北海道 11/17 約64.7 10/16 62.5
青森 4/7 57.1 3/7 約42.9
秋田 4/5 80 5/5 100
山形 3/6 50 5/6 約83.3
栃木 3/4 75 1/4 25
群馬 4/7 約57.1 6/7 約85.7
埼玉 14/27 約51.9 10/25 40
千葉 9/13 約69.2 6/11 約54.5
神奈川 8/14 約57.1 7/12 約58.3
新潟 5/11 約45.5 6/11 約54.5
富山 1/2 50 1/2 50
石川 3/4 75 1/5 20
福井 2/5 40 2/5 40
山梨 1/6 約16.6 2/6 約33.3
長野 7/9 約77.8 5/9 約55.6
岐阜 11/17 約64.7 15/17 約88.2
静岡 7/13 約53.8 8/14 約57.1
愛知 13/25 52 16/25 64
三重 1/2 約50 1/1 100
滋賀 0/1 0 0/1 0
京都 0/6 0 1/6 約16.7
大阪 3/31 約9.7 7/36 約19.4
兵庫 15/20 75 7/18 約38.9
奈良 1/4 25 1/4 25
和歌山 3/4 75 2/4 50
鳥取 1/2 50 2/2 100
島根 4/5 80 3/5 60
岡山 6/8 75 6/8 75
広島 8/8 100 7/8 87.5
山口 2/5 40 2/5 40
徳島 2/2 100 1/2 50
香川 2/3 約66.7 1/3 約33.3
愛媛 2/4 50 4/4 100
高知 3/10 30 6/10 60
福岡 10/20 50 8/17 約47.1
佐賀 3/3 100 3/3 100
長崎 5/8 62.5 3/8 37.5
熊本 8/9 約88.9 5/9 約55.6
大分 4/7 約57.1 4/7 約57.1
宮崎 4/7 約57.1 3/7 約42.9
鹿児島 7/11 約63.6 4/11 約36.4
合計 204/372 約54.8 190/366 約51.9

(出典:「全選挙区」と同様)
1人区の無風の割合は約54.8%→約51.9%と少々減少していますが、前回・今回いずれも「全選挙区」と比べると深刻です。
ただし、1人区以外、それも定数の多い区でも無風が生じることがないわけではないことに注意しなければなりません。
都道府県議選は選挙区と選挙区の格差が問題であり、区割りのあり方を考えることが必要です。
そもそも都道府県内に区割りは必要なのでしょうか。
区割りを設けず全(都道府)県1区か、せめて1人区を見直すべきです。

市区町村首長選

下記の表は市区町村首長選での無風の市区町村に関してです。

市区町村首長選
  2019年 2023年
種別 無風/全体 割合 無風/全体 割合
政令 0/6 0 0/6 0
政令市以外の市 27/86 約31.4 25/88 約28.4
都区部 0/11 0 1/12 約8.3
町・村 55/121 約45.5 70/125 56

(出典:「読売新聞オンライン」のうち下記の各記事)
●「[統一選2019]市長選31%無投票…津、高松など 後半戦スタート」(2019年4月16日)
●「55町村で無投票、8町村「定数割れ」…町村長・町村議選告示」(2019年4月16日)
●「統一地方選後半戦、88市長選に177人立候補…25市で無投票」(2023年4月16日)
●「町村長選は56%が無投票に、20町村議選で「定数割れ」…統一地方選挙・後半戦告示」(2023年4月18日)
政令市は前回・今回いずれも無風なしです。
政令市以外の市での無風の割合は約31.4%→約28.4%と少々減少しています。
都区部は、前回は無風なしですが、今回は1区とはいえ無風の区が生じています。
無風は人口の少ない土地で生じている印象ですが、都市部でもありえないわけではないことに注意しなければなりません。
町・村は約45.5%→約56%と増加し、市・区と比べると深刻です。

市区町村議選

下記の表は市区町村議選での無風の市区町村に関してです。

市区町村議選
  2019年 2023年
種別 無風/全体 割合 無風/全体 割合
政令 6市/17市
7区/160区
約35.3
約4.4
2市/17市
2区/160区
約11.8
約1.3
政令市以外の市 11/294 約3.7 14/294 約4.8
都区部 0/20 0 0/21 0
町・村 93/375 約24.8 123/373 約33.0

(出典:市区町村首長選と同様)
政令市は市単位で判断すると約35.3%→約11.8%、選挙区単位で判断すると約4.4%→約1.3%と減少しています。
なお、政令市はそれ以外の市区町村とは仕組みが異なります(市内に選挙区が設けられていて、1つの市内でも無風と無風ではないが混在する場合あり)。
政令市以外の市は約3.7%→約4.8%と少々増加しています。
都区部は前回・今回いずれも無風なしです。
町・村は約24.8%→約33.0%と増加し、首長選と同様に市・区と比べると深刻です。

4年後を視野に

今回も残念ながら無風が生じています。
そもそも無風が生じているのは出馬の壁が高いこと、区割りの存在に問題があります。
出馬の壁とは十数万円~数十万円もの額を用意できる人間しか出馬できない供託金制度(国政選挙にも存在)、なり手を地元住民からしか募れない居住要件(地方議員選のみ)です。
都道府県議選に関しては都道府県全体の代表であり、都道府県内に区割りが必要なのかどうかが問題です。
また、国と都市の間に都道府県という階層が必要なのかどうかも問題です。
ただし、存在している限り、気になるところです。
供託金制度、居住要件、区割りといった選挙関連の制度を見直すべきです。
4年後(2027年)の統一地方選はもとより、今後の地方選挙(居住要件以外は国政選挙にも存在している問題)を視野に、問題の是正を目標に声を挙げることが必要です。

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