走行税登場の可能性に思う

自動車の走行距離に応じた課税(走行税。走行距離課税、道路利用税とも)の登場の可能性に関して、政府税制調査会(2022年10月26日の第20回総会)で言及されています。
特に主要地区(東京圏、中京圏京阪神、札仙広福)以外の土地から否定的な声が挙がっているとのことです。
当記事投稿時点では見送りとされていますが、下記のとおり申し上げたいことがあるため、扱っております。

自家用車偏重社会に異を唱えるべき

主要地区以外はたしかに自家用車中心の社会(車社会)なのが現状です。
生活にかかわる問題であるゆえに導入に否定的な意見が出されているのは自然なことです。
しかし、それだけでは納得しがたいことがあります。
それは「自家用車偏重社会に異を唱えるべきなのではないか」ということです。
自家用車を持ちたくて持ったり、運転したくて運転したりするのならまだしも、自家用車を持っていないと、運転できないと不便か最悪生活が成り立たない状況は考えものです。
自家用車での移動が前提となっているゆえに不本意ながら自家用車を持ったり運転したりしている人間にとっては、自家用車偏重社会は酷なことではないでしょうか。
「自家用車前提の土地が不満なら公共交通が充実している土地に出れば良い」といわれるのかもしれません。
現在暮らしている土地を離れることはたしかに1つの手ですが、事情があってかなわない・困難な人間もいるのです。
また、現時点では自家用車を不自由なく安全に運転できている人間も未来永ごうそれができる保証はありません。
ゆえに自家用車偏重社会に異を唱えることが必要なのです。

自家用車偏重社会の見直しを

走行税の是非以前に下記のいずれかで自家用車偏重社会を見直すべきです。
●公共交通の拡充
●すでに充実している土地への集約
前者は主要地区・主要地区以外を問わず全国すみずみまで交通インフラを整備するというものです。
どの土地に暮らしているのかを問わず利便性が確保されている状況はもちろん望ましいことです。
金のこと(財政)を気にしなくて良いのなら最優先レベルでおこなっていただきたいものごとですが、現実的には気にしないわけにはいかないのが課題です。
一方、後者は一部の土地で行われているコンパクトシティ化を全国で行うというものです。
前者と比べると金がかかりませんが、充実していない土地で暮らしている人間からは居住・移転の自由をめぐる反対論が生じうるのが課題です。
また、「どこからどこまでを充実しているとみなすのか」という基準が議論となるところです。
少なくとも「(居住用としての)土地は存続、交通インフラは切り捨て」という現に行われているやり方よりは(個人的には)増しです。
前者と後者のいずれが増しなのかは各人思うところがあるのかもしれませんが、なんらかの形で自家用車偏重社会から転換していただきたいものです。